何の前兆なのか、最近まで『魔法少女 まどか☆マギカ』がいろいろなアプリゲームとコラボしまくりであった。
スロットも人気っぽいし、さらにはマギアレコードとかいうオリジナルのソシャゲまで製作するようで、まためんどくさい世界観が広がっていきそうだ。
コラボはそのための戦略なのだろうか。
とまあそんな尻軽コンテンツっぽい流れだが、好きなアニメが終了から何年経っていても広がっているのは嬉しいなぁ。
AbemaやAmazonプライムビデオで時々配信されているTV放送版を観るのも良いし、修正されまくった円盤で観るのも良い。
というわけで、まどマギについて語ります。
とは言ってもほとんどキャラについてだけです。
とっくに様々な解釈がされている作品なので本当に今更だが、キャラについてなら今でも語れる余地はあるんじゃないだろうか。
この先はかなり主観的で言葉遣いもテキトーですし、アニメ本編はもちろん番外編のネタバレも含むので注意。
新編についてはまた別の機会に。
まどマギは全12話のアニメではありますが、世界観やキャラクターへの物足りなさはまったく感じないほど練られた構成になっており、ダイナミックなシャフト演出や劇団イヌカレーによる狂気的な魔女空間も極上で、映像作品としても唯一無二のおもしろさを感じられる。劇伴も最高。かわいいキャラデザとダークな面のギャップもキャッチーだし、それが悪趣味なんてことはなく、描かれる事は真っ当に美しい物語。愛さずにはいられない。
それではキャラについて語っていきます
鹿目 まどか
ほむほむによって翻弄され絶望に突き落とされていく主人公。
他の魔法少女とは違い、健康で優しい父親と稼げる母親と未来ある弟に支えられている富裕層である。
そんな彼女が、自分とは対比的な家庭環境や価値観を持つ少女達と行動を共にしながら、魔法少女になるかならないかの選択を迫られていくわけですが、魔法少女になるまでのまどかは皆に優しい言葉をかけてはキツく返されてショボンしてしまうので見ていて辛い。
そして魔法少女になった最後には「もう誰も恨まなくていいの。誰も呪わなくていいんだよ。そんな姿になる前に、あなたは、わたしが受け止めてあげるから」なんて言って世界を救い、根暗な俺は泣いてしまう。積み上げてきた凄まじい愛の説得力が素晴らしすぎる。
他人の幸せを祈ったことが間違いだなんて、絶望に向かうだけだなんて考えは否定していきたいもんですね。意外と語ることが無かったので以上です。
美樹 さやか
変身すると腋と絶対領域にオーラが出てくるまどかの幼なじみ。魔法少女の中で唯一男に恋心を抱いていた女。そんなリアルな女子中学生感が視聴者に好かれたり嫌われたりする要因になっている。
彼女は本当にドンマイなキャラだ。
なんかいろいろあって猫型はんぺん野郎に体を脱け殻にされた挙句、強制的に腹痛を与えられたさやかはもうお嫁に行けないと確信し、本当の気持ちを実行できないまま友人の仁美を妬んだり自分の醜さに苦しんでしまう。
影の魔女と自暴自棄に戦っていた時の傷ですが、小説版だと「さやかちゃんの片目は潰れていました」「腕の一部は裂け、足も骨が見えるほど抉られていました」とグロテスクに表現されていたので、本当にマイっていたのだと分かる。
だけれどネガティブな感情には常に鋭く敏感で、ほむらがグリーフシードを渡してきた時には、ほむらがやろうとしたことが完全に偽善であると気付いて拒み、「あなたって鋭いわ」などと言われたりしている。(誰にでも分かりそうなんだけどさ)
ただグリーフシードを渡すだけでは、まどかを傷つけて恭介を仁美に取られたさやかの苦しみが癒えるわけがなかったのだ。
浄化してもその場しのぎでまた濁る可能性も高いと思うし、こうなる前に純粋な杏子と話していたことで余計にほむらが気にくわなかったのかもしれない。
そして壊れた自分を見たまどかが苦しむかもしれないって心配をする以前に、自分はもうまどかに嫌われたんだと思い込んで諦めちゃっていたんだろう。
魔女化する前に電車でお話したホスト達は殺されてなかったみたいですね。漫画版では殺されちゃったらしいけど、それ1つでキャラの印象は物凄く変わるのでアニメのパターンでよかったよかった…。
ちなみにアンソロジーコミックにホストどもが活躍する話があって地味におもしろかったです。

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そしてまどかに救われることで恭介と仁美の仲を認められて、彼の演奏が好きだっただけなんだと悟った後に円環の理へ…。
思えばさやかが恭介の性格等を褒めたことはまったく無かった気がするぞ!
まどかに酷いことを言ったきり二人は話せていなかったから再会できて良かったなぁ。あんなことがあっても最終的にさやかの願いを尊重してくれたんだし、まどかが最高の友達であることは間違いない。
そんなさやかちゃんの戦闘スタイルは剣でした。
その道の師から剣技を学んだ訳ではないので、振り回したり投げたりするようなノリに任せた動きばかりでしたね。バット時代とあまり変わらない。
5話で杏子の槍を刃先で止めた瞬間は凄かったけど、演出のために仕方なくって感じの扱いらしい。
才能が無いんだと自虐していたけれど、数えるほどしか戦ってないんだから彼女を焦らせる事が無ければもっと強くなれたんだろうな。
まとめると、次々と起こる不幸ラッシュに耐えられず色々やらかしてしまったフツーの女の子である。彼女は『ダイ・ハード』シリーズを観るべきだったんだ。
佐倉 杏子
登場したばかりの頃は行動がDQNすぎて無理だったのだが、物事を厳しい目で見つつも、一番ハッピーエンドを望んでいたであろう優しい娘であった。
杏子は最初に訪れた絶望の壁を乗り越えていた点が凄い。普通なら家族の自殺で魔女化していたんだろうけど、そのまま生き続けて孤独まで自分の力とした。
最後にはさやかを孤独にしないよう自爆。
なんかもう今までの悪いイメージも全て吹き飛ばしちゃうような退場でズルいですね。
以上です。
巴 マミ
マミさんは何も考えられない瀕死の状態で「生きる」という当たり前のことを願ったが、それはたぶん別の願いで契約しても自動で叶っていたんだろうな。
つまり他の魔法少女とは違って、夢も希望も叶えられぬまま、ほぼ強制的に魔法少女としての人生を歩まされた。
彼女の願いから訪れる絶望は恐らく「孤独」だったんだろうけど、それにもなんとか耐えていた。
まだ中学生なのに恋や友達と遊ぶことまで諦めて、魔法少女一本で生きている達人。しかも天涯孤独で独り暮らし(猫型孵卵器は含まない)。
…こんなに支えたくなるキャラがいるだろうか?
俺も一緒に戦って彼女の生きる希望になりてぇ〜などと思っても、観ている側は何も出来ない。残念だが、その辛さがまた作品とキャラの魅力なのだろう。
「マミさんは豆腐メンタル」なんて言う人をよく見かけるが、魔力を私欲に使わず、他の魔法少女のやり方に流されず、人を救う理想の魔法少女像を貫いてきた彼女が豆腐なわけがない。
豆腐などと思われてしまう一番の原因は10話だと思うけど、人助けを生き甲斐としてきた自分が、最後には人を傷付ける側になるだなんて分かったら死ぬでしょ。ゾンビ映画でよくあるやつです。友達だと思っていたキュゥべえに裏切られたってショックや、さやか達を誘った罪悪感もあっただろうしさ…
ワルプルギスの夜を止めることは考えずに皆を殺そうとしたマミさんのオツムは弱いかもしれないけど、「皆をすぐ楽にしてあげたい」「私が殺して全てを背負う」なんて気持ちがあったとしたらどうだろうか?
まぁ上記の心理は完全に俺の妄想なのだが、杏子を最初に片付けたり、ほむらを拘束する手際の良さからして感情に流されただけの行動じゃ無かったのは確かだと思うんですよね。大事だった皆を撃った後に自分がどれほど苦しむかなんて分かっていたはずだ。そんな汚れ役を仲間にやらせようとしなかったマミさんは最後まで「お姉さん」だったんだよ。
事を済ませたら自分の命を絶たねばならないことも覚悟していただろうだからメンタル面では強さしか感じなかったなぁ。
そしてまどかが神様(仮)になれた理由にマミさんの存在は欠かせない。
なぜなれたかって、もちろんほむほむがループしまくっていたり、まどか自身が数々の悲劇を見て覚悟を固めてきたからなんですが、精神面では何よりも勇気が必要だったはず。俺はそれをマミさんから受け継いでいたと思っている。
4話でまどかがマミさんの部屋で「あたし、弱い子でごめんなさい…」と言ったのはマミさんの強さを分かっていたからで、12話でノートを返してもらった時に決断する勇気も頂いたんじゃないかな。
まどかがほむほむに「だって魔法少女はさ、夢と希望を叶えるんだから」と言ったが、これはマミさんからきている言葉なんだ。
まぁつまり…マミさんはすごいってことです!これだけは譲らん!!!
もちろん戦闘でも最強。
使い魔どもとの戦いでは銃で殴ったり、蹴りでぶっ飛ばしたり、華麗に舞いながら容赦なく銃弾を撃ち込みまくる。
数々の戦いで得た経験と頭の良さと胸が他の魔法少女と比べて段違いに優れている。
銃のサイズや弾の種類まで多様性があるし、マジカルリボンは相手を拘束したり、相手の拘束技を切ったり、落下物を受け止めたり、移動手段として使うこともできる。
他にもさやかのバットを素材無しでマジカルステッキに強化したりと魔法の応用までもが一番上手い。
マミさんはドラマCDや番外編のTDSで杏子の師匠をやっているので、杏子の技が多いのはそういうことでもあるのだろう。良くも悪くも他の4人はマミさんから始まっているのだ。偉大すぎる。
TDSのマミさんは最後に自ら死んじゃうんだけど、あのタイミングでは後輩に押し付けて逃げたようにしか見えなくて正直酷かった。
でも「魔女のいない世界でみんなに会えたら良かったな」って言葉が核心を突きすぎていて泣けるんですよ…

魔法少女まどか☆マギカ ~The different story~ (上) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ)
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そういえば事故前の人物像はまったく語られていませんね。
両親と楽しそうに話すマミさんとか想像しただけで胸がズキッとくる。
…とまぁこのままマミさんの全てを絶賛したいところですが、1つ引っかかってるシーンがあるんだよな。
2話の「自分より強い相手は邪魔者ってわけ?いじめられっこの発想ね」ってセリフの違和感…すごくないですか?
さすがに何言ってんだコイツと思ってしまった。普通にピンとこない例えだし、気に入らない相手を排除しようとするのはいじめっこの発想じゃね!?
まぁつまりだ。たった3話で亡くなったというのにあれほどの存在感…胸と首だけじゃなく本当に奥深いキャラクターなんですよ。たぶん。彼女はピチピチの中学生なのに、大きなお友達もつい「さん」付けで呼んでしまうほどの風格がある。だけどレディさ。
どうでもいいけど、「マミる」って言葉を未だに使う輩がいますよね。あの言葉はナンセンスの極みなので、目にしなくなる日がとっとと来てほしいもんですよ。
暁美 ほむら
まどマギデビューした頃は黒髪ロングに黒タイツといった完璧な見た目に一目惚れしてしまい、常にほむらちゃほむほむだったのだが、冷静に分析してみるとかなりヒドい女の子だった。
まず、ほむほむは1周目でループするべきじゃなかった。
これを言うとストーリーそのものを否定してるようなものだからちょっとアレなんですけど、彼女はまどかの「元気でね」を無視してワルプルギスの夜と戦ったマミさんの「名誉の死」を最終的には「頭パックン」にしたんだよ。
ほむらはまどかに「今とは違う自分になろうだなんて、絶対に思わないことね」と毎回言ってそうだけど、魔法少女になるか、ならないかの選択だけが人の変化じゃなくて、もっと大事なアレがあるのだ。ほむらにはその辺を気遣えるレベルの想像力も人生経験も無かったので本編のまどかはズタズタ。まどかの「肉体の生存」しか考えていない。
最初にほむらが惚れたまどかはもうほむらの中にすらいないのではないか?…切ないね。
9話では「てめえそれでも人間か!?」という杏子の叫びに「もちろん違うわ、あなたもね」とクールに返して上手いこと言ったような雰囲気になってたけど、杏子は肉体ではなく人間性についてツッコんでいたわけで、ほむらはコミュ力というか聞く力の低さをドヤ顔で披露してしまったのだ。そういうところがかわいいのだと思いたいけど、まどかの気持ちを考えたら普通に最低である。傷付くと分かっていて返したんならそれはそれでまたドン引き。しかもその危うさはメガほむ時代から垣間見える。
ワルプルギスの夜に勝ったけど魔女化しそうだなって時には「2人で怪物になってこんな世界何もかも滅茶苦茶にしちゃおうか」だなんてマミさんの精神から何も学んでいないことを言い出す。まどかからすれば「まだ私の家族いるんですけど」って感じだろうよ。何も返事されてないし、まどかに絶対引かれてる。こんなふっ切れた友達は見たくなかっただろうし、まどかがドッキリ方式でグリーフシードを使ったのも納得だ。
ていうか、なんでマミさんとまどかの扱いにあれほどの差があるんだろうか?
マミさんは1、2週目では本当にお世話になった存在でしょ。
殺されかけたんだからビビるのは仕方ないけど、「誰も未来を受け止められない」とかマミさんの行動だけを見て決めつけたような発言は酷いよ。現実を受け入れられなくてループした君が言うのか。そして本来巻き込まれなかったはずのさやかと杏子を含めて「こいつら使えない」的な扱い。
勝手にループしておいて「もう誰にも頼らないッ!」ってあぁそうですか。
そもそも突然作り始めた威圧感と事情通ですって態度を止めていればマミさんから警戒されることは無くなり、もっと上手く話が運んでマミさんの死も回避できたはず。それで何度も体験してきたであろうさやかの魔女化をどうにかして防げさえすれば、お菓子の魔女戦を生き残ったマミさんは魔法少女心中計画を発動しないかもしれんし、杏子とさやかも生き残ってワルプルギスの夜戦が有利になる。まどかの悲しみも最小限で済むはずだ。
ほむらはお菓子の魔女が危険だって未来を知ってるくせにテキトーに登場するし、ハコの魔女の時も統計とやらがあったはずなのになぜ現れなかったのか。もし分からなかったとしても、なぜ暇人(決めつけだけど)のくせに不安定なまどかから目を離していたのか。
さやかの契約は避けられなかったにしろ、まどかはガチで死にかけていたよ。
その後の会話で「彼女にも監視」とか言ってたけど、まどかの監視も出来てなかったんじゃね…。
ほむらとさやかは相性が悪いと言われがちだが、メガほむと同じく気が弱いまどかの最初の友達がさやかだし、ドラマCDでクールほむほむとさやかが微笑ましい会話をしていたことから素の相性が悪いってことはない…はずで、気が強い直感型さやかに気が強い現実的思考のキャラで当たっていったほむほむが悪い子ッ。
それと改編後の世界でさやかが円環の理に導かれた後にほむらだけ「まどか…!」って言っていたけど、まどかを知らない杏子達からしたら空気を読めない発言が普通にウザいでしょ。さやかちゃんに触れてあげて。
そして一番迷惑だったのは銃器のマジカル窃盗だと思う。いったいどれほどのヤクザの指と軍人の首が飛んだのか気になる。アルティメットまどか様は結果的にほむほむの行動で犠牲になった人達も救ったのだ。
ここまでボロクソ言ってしまいましたが、11話では自分がすでに迷子で、まどかとほとんど通じ合っていないことを自覚しているし、まどかを守ることだけが生きる理由になるまで壊れちゃってんだなぁと理解できれば、やっぱり好きになっちゃうな。
杏子とさやかの戦闘を止めに入ったシーンとか、ワルプルギスの夜戦の変身シーンやハンパない火薬でボコボコにするホマンドーアクションは素晴らしい映像だった。
ワルプルに吹っ飛ばされた時と絶望しかけていた時の表情は悲しすぎて泣けてくる。本当にかわいそうでかわいい。ゾクゾクする。
某海賊漫画の白ひげは裏切った息子をそれでも愛したし、俺も最初の気持ちを裏切らずに彼女を愛でていこうと思います。好きだよほむら…。
おわり。