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魔法少女 まどか☆マギカ [新編] 叛逆の物語について

ネタバレ注意

 

 

叛逆の公開当時、俺はまどマギにゾッコンだったにも関わらず、めんどくさがって映画館には行かなかった。

しかも先に漫画版を買って内容を把握するという、今の自分だったらありえない愚行に走っていたものです。

そしてこの文を書く2年以上前にBDを買ってやっと観たのだ。

幸いにも漫画版の内容は1割も覚えていなかったので、映画は純粋に楽しむことができましたね。

 

というわけで、ほんと今更なんですけど…自分なりにまとめたくて仕方がないので、量産型感想を書きます。

とりあえず『叛逆の物語』全体のリアクションと、この映画で変わった彼女達のイメージを書いていこうかなと思います。

 


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冒頭はほむほむが「ポケットモンスター縮めてポケモン」みたいな感じで魔法少女について語る。

それから舞台は幻想的な街に移り、なんと劇場版『永遠の物語』で消えたはずの少女達が笑顔でぬいぐるみと戦っているじゃないか。あのさやかと杏子が共闘してんだよ!

 

途中の背景に「Welcome to cinema」と書いてあって、らしくないメタ発言かなと思ったけれど、この世界はほむらの作り物って意味で捉えるのが妥当かな。

 

新しい敵のナイトメアは、さやかも「グロい」なんて言わない微妙にかわいらしいデザイン。枕やクマさんのぬいぐるみでビルを破壊するほどワイルド。

 

儀式中に流れる「まだだめよ」はずっとループして聴ける良く出来た挿入歌。

 

オープニング『カラフル』は歌詞も映像も素晴らしい。ほむらだけ踊っていないダンスシーンが一番好き。哀しいけどね。

 

OPも終わった翌日、さやかと杏子とまどかが登校している新鮮な絵面が見られる。

独身和子先生はなんだか悪魔憑きみたいな動きをしていて恐ろしかった。

反っていた時は完全にコレでしたね。意外とおもしろい映画でしたよ。

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本当の悪魔はほむらよりも先生なのかもしれない。

 

そして転校生はドヤ顔でソウルジェムを見せてくるほむら。かわいいやつめ。

2秒で採用したくなるかわいい自己アピール後、速攻で魔法少女全員に受け入れられ、早くも1ヶ月経過…

キュゥべえはまだ「きゅ~」しか言わない。クソ野郎ですよ。

 

夜景のカットが何度も映されるのだが、前後編以上の景色の描き込みには圧倒される。水の表現も美しい。

そんな景色をまどかとほむらが楽しんでいる間、仁美は恭介を電話で誘っていた!

恭介の渇いた「アハハ」で誘いを断られてしまった仁美の目が寄生虫に寄生されたようになってしまいナイトメアが誕生する。

簡単な理由で生まれすぎなんだけど、だからこそベタベタな魔法少女らしさがある。

その誕生シーンが『エルム街の悪夢』のベッドから血が沸き出るシーンに似ている。

「日曜日なんていりませんわ!」が何よりも恐ろしいわ。

 

そんでいよいよお披露目されるバスタオル1枚のマミさん。他の魔法少女では越えられそうにないビッグな山をこれでもかと拝むことができる。髪を下ろしたマミさんも素晴らしいよ。外から見れば部屋の中がオープンすぎるんだけど、世の中にはゲスな輩がたくさんいるから気を付けるべきだよ。

 

そしてナイトメア戦が開始!最初に披露される全員の変身は見所すぎる!マミさんはスケート、杏子はなんだかよく分からないやつ、さやかはブレイクダンスをキメて、ほむらはぴょんぴょんバレエ、まどかはキラキラなザ・アイドルって感じ。よくわからない杏子の変身が一番好きです。さやかのブレイクダンスは何度観ても慣れないよ…

 

からの

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ピュエラwwwwマギwwwwwwwホーリーwwwwwwwwwクインテットwwwwwwwwwwwwwww

 

デデデン!って感じの音楽が狙いすぎ。中心にいるマミさんの堂々としたポーズから分かるように考案したのは彼女だろう。

なんだかんだマミさんの夢がついに叶ったんだ。ここは創造者のほむらに感謝するしかない。ネーミングセンスへのツッコミは胸に閉まっておこうね。

 

戦闘に関しては師弟コンビのティロ・デュエットだけでも驚きなのに、さやかも杏子もほむらも技名を叫ぶなんて…マミさんにずいぶんと教育されたんだね。

でもせっかくなら杏子のロッソ・ファンタズマとか見てみたかったなぁなんて思ったり。

あそこはほむらの願望の世界だから、痛々しいマミ・クオリティに実は憧れていたってことなのかもしれない…全てがマミ得すぎる。

そして問題のケーキラップ。

ライムは皆無だが、ナイトメアをケーキと表して遠回しにディスってる彼女達はなかなかヒップホップ。

さやかの動きとマミさんの脚が素晴らかった。何度観てもキュートで奇妙で、観ているとこっちが恥ずかしくなる。でも英語吹き替え版だとちょっとかっこよく聴こえますよ。

 

ナイトメアを倒した後には全員魔力回復!

なんて優しい世界なんだ。仁美と恭介の仲を認めるさやかの優しい表情も素晴らしい。おそらくだが、さやかは恭介と一度付き合って別れているんじゃないだろうか。元カノ面っぽいセリフがあるし間違いないだろうよ。無印でも魔法少女の存在がネガティブなモノじゃ無ければ、仁美とさやかと恭介の関係はあんな感じで落ち着いていたのかもしれない。

捻くれているほむらは世界のヌルさに違和感を感じ始め、相貌失認になる。

モブキャラの顔がゲロみたいに見えるけど、唐揚げを渡すまどかはマジ女神。

モブキャラのことはおかしいと思っているはずなのに、ヤバイ角度で降下する飛行船とかヤバイ角度で上昇する飛行船とかヤバイ動きの子供達とかは気にしていない。絶対におかしい。害がないから完全無視とか都会の子ってやっぱりそうなんですか…?

でも夢の中の違和感って、気付いているのにまったくツッコめないよね。そんな感じならすごく納得できる。

プロダクションノートには、子供達が注文した物の代金はほむらの財布から拝借してると書いてあるから笑う。紙芝居は人魚の話が人気無いんだって…さやかちゃん…

 

そんなわけで違和感に耐えられなくなったほむらは、敢えて一番違和感がある杏子と隣街を捜索することになったのだが、何度バスに乗っても風見野に辿り着けない奇妙な状況に陥る。 あんな風に彼女達とホラー体験したいもんだね。

ほむらは危険を感じて杏子を先に帰し、独りで夜の街へと繰り出すのだ。

杏子に貰ったキャンディをさりげなく捨ててやがる。

魔女の結界だと気付いてからは街がにぎやかになっており、条件を満たすとマップが広がるゲームみたいだ。

 

そしてたぶん次の日、男児の憧れマミさんのお部屋!

背景に写る本がお菓子とインテリア関係のものしかなかった。

そんな空間に普通に溶け込んでいる劇的ビフォーアフターしたほむらに誰かツッコめよ!(漫画版ではマミさんがイメチェンを褒めていました)

そして常に微笑で会話していたほむらが突然時間停止を発動し、生き物に慣れていない掴み方でベベをかっさらってナルトもびっくりの助走無し大ジャンプで街を飛び回る!

ここでほむらがマミのことを誰よりも繊細でマジ苦手だったと言っているのだが、あんたの真実の告げ方がいつも悪かったんじゃねえのかと思わざるを得ない。自分が最低であることを自覚していたのは良いけど、それを仕方のない事だと改善せずに諦めていたんじゃないのかと責めたくもなる。

まぁそして崩壊が始まっていそうな無人の場所でマスコットキャラをいじめていたほむらの足に突然リボンが絡み付く。

スーパーヒーローマミさんだ。

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テラフォーマーズのこのコマを思い出したのは俺だけじゃないはず。

 

それにしても"隠"を使うとはさすがマミさん。誰よりも応用ができているベテランは先の読みもおっぱいも圧倒的だ。

ほむらもベテランには違いないが、時間停止の能力に頼りすぎて"凝"を忘れていたようだ。ハンターハンター7巻を読んで出直してこい。

「巴さんはもっと強くてたくましい人です」なんて言った直後にリボンを仕込まれるなんて…ほむらはどんだけマミさんに信用されていないんだ。

劇場版前編では「いじめられっこの発想ね」なんて言われて新編では「ベベがいじめられるのを黙って見ているわけにはいかないわ」と言われて…なんともワルな扱いである。

 

2人の戦いはアニメだからこそできる、文字じゃ表現できない圧倒的な「ガン=カタ

戦闘が落ち着いた後の喘ぎ声(に限りなく近い息切れ)もたまらん。四つん這いになったほむらを観た俺は頭の中で別の銃撃戦を始めたけど、クラスのみんなには内緒だよ!

 

最後に銃弾がぶつかり合う時、漫画版だと2人とも耳を塞いでいるんですよ。漫画版は本当に丁寧に補足されているのでおすすめです。

劇場版魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語 1巻 (まんがタイムKRコミックス)

劇場版魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語 1巻 (まんがタイムKRコミックス)

 

マミさんとほむらは、おっぱい・髪の色・性格・胸など、キャラデザの段階から対極的な運命を予感させる2人なのだが、共通点もいくつかあるんですよね。

メイン武器が銃とか、1人で頑張りすぎちゃうところとか、俺に愛されているところとか、さやかの消火器攻撃を受けたとか…

 

そしてほむらをかっさらったさやかが「君の推理を聞こうか」みたいな態度を取っている姿は劇場版前編と対比的でおもしろい。

ほむらの推理ショーを「犯人はあんただよ」って思いながら聞いてるんでしょ?あの頃とのギャップがやばすぎる。

 

オラァ!

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それから自分を信じられなくなったほむらが、自分の想像物ではなく本物だと確信したまどかの「みんなと離れるなんて私には無理だよ」という言葉を聞いていろいろ後悔する。

それが後に悪魔化を選ぶトリガーになるんだろうけど、アルティメット化する決心をしたまどかは、マミさんや杏子が亡くなったり、さやかが魔女化した酷い世界でメンタル的に成長し、魔法少女達を本気で救いたいと思えるようになったまどかだったから、ここで話したまどかの本音が向こうと同じだとは思えない。あの時のまどかに後悔なんてあるわけない。そういうところばかり間に受けていたらなんかもうダメでしょ。

もうほむらには「本当のまどか」なんてとっくに分からないものになっていて「自分のまどか」だけを追いかけているんだ。

まどかがほむらの髪を勝手に編んでいたけど、イメチェン似合ってないよとか思っていたのだろうか。しかし髪はほどけてしまって、ほむらは走り去ってしまうのだ。

 

それからいろいろ試してみた結果、ほむらは自分が魔女だったのだと気付いてショックを受け、腰痛持ちみたいになる。辛いよな腰痛… 

杏子に電話で「巻き込んでごめんなさい」と告げるシーンは、テレビシリーズのことも含まれていそうでなんだか深いよ。

 

ここでキュゥべえが猫被りを辞めてドヤドヤと現れるのだが、登場の雰囲気だけはちょっとかっこよかった。

 

ネットで見つけた画像でしか確認してないけれど、白いシーツを纏ってるほむらが事後っぽくて良いんだよな。

BD版だと変な光というか模様が追加されていて見にくいんですよね。

 

ここからキュゥべえによる長い解説パートが始まるんだけど、つまりは女の子に声をかけるだけでも迷惑だったストーカーどもが「干渉遮断フィールド」なんて後付けの新技を使い、ほむらは強制的に辱しめを受けていたことが判明するのだ。睡姦みたいなもんだよ。真実を明かされた時のほむらの顔にはゾクゾクしたね。

時々あったキュゥべえの視姦するようなアップはそういうことだったんでしょうね。

変態はんぺん猫は「無意味な堂々巡りに付き合わされることになった」とかほざいていたけど、喋らない設定を利用してまどかとお風呂に入ったんだろ…どうせ。

 

そんなこんなでほむらは円環の理に救われないままソウルジェム内で半魔女化し、無意識に現実の知り合いを巻き込みながら新しい世界を作って過ごしていたのだ。

しかもキュゥべえは観測ついでに円環の理を制御したいと正直にぶっちゃけやがった!

もちろんほむほむはブチギレて魔女パワーでキュゥべえフルボッコにし、円環の理に干渉される前に完全な魔女化を果たしてしまう。俺もボコボコにしてくれ。

「輝きと後悔だけしかもう思い出せない」とかJCのセリフじゃねえ…

 

鳥肌が止まらないカウントダウンからついに始まるホムリリィ戦。

ホムリリィは姿からして哀しく、後ろから伸びる手が街を壊して引っ掻いて、後悔しか感じさせない。あれだけ頑張ってきたのに最後が自己完結だなんてありえないよ。

 

しかしさやかが大活躍!自分の心臓を突き刺す演出がかっこよすぎるし、VIP感が新鮮すぎてたまらん。派遣使い魔どもの戦争が熱すぎる。

マミさんの10倍ティロ・フィナーレは強すぎる…

そしてさやかのスタンド「オクタヴィア」が杏子の槍を使うシーンの素晴らしさに、一部のオタクは円環の理へ導かれたことだろう。あれは嬉しくなるよね。

 

そして皆の愛でQBフィールドがブッ壊れるんだよ。

Kalafinaの『misterioso』が完璧に合っていて泣いた。このシーンは仕事中だろうがメシ食ってる時だろうが、思い出すだけで鳥肌ブワァーなって泣けてしまいます。

2人で弓を構えるシーンも劇伴が素晴らしくて泣ける。視聴2回目以降は会話が噛み合ってないと思えちゃうけど最高。

 

からのキュゥべえフルボッコ!ざまぁねえなおい!!!

 

変態集団を撲滅して結界から脱出!

あの砂漠はいったいどこなんだ。

そして巻き込まれた一般人が懐かしい使い魔どもに優しく運び出される。先生が座っている椅子の下の使い魔がおもしろい。地味に巻き込まれていた中沢くんにも笑った。

ほむらが中沢くんを異性として意識していた説…はありえんから、ほむらにとって朝のやり取りはとても重要なんだろう。良いポジションだな中沢くん。

 

ついに感動の再会かと思ったのにほむほむがまどかに愛の告白!からのバラバラ事件!

 

愛で堕ちるとかルシファー感ありますね。

永遠の別れを受け入れた後に本物と再会しちゃったら揺らいでも仕方ないのかもな。

ところで『マギ』25巻の244話にこんなシーンがある。

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彼が抱いているのは怒りだが、ストレートに表すとほむらもこういうことなんだろうなと俺は思う。

 

そんなわけで、これは愛なんだぞッと吹っ切れたほむらは悪魔化してしまうのであった。

 

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こんなきわどい衣装を着ちゃってさぁ、確かに目付きとか肩とか背中に物凄くそそられるけど、俺は下半身が一番のポイントだと思うね。

今まではタイツやハイソックスを履いていて「もう少し下に…もう少し上に…」と焦らされている気分になっていたのだが、悪魔化によりついに絶対領域を解禁したのだ。

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これはディバインゲートほむら。

スカートの形がとってもイジワルで嬉しいのだが、そのスカートの形や他の部分の露出の高さに、絶対領域としては邪道だと感じる人もいるだろう。だがそういうところが悪魔的と言えるのかもしれない。脚を組むイラストが多くてホント悪魔。聖水かけるぞ。

ここまで言ってますけど、やっぱり俺は黒タイツ派!

 

というわけでキュゥべえは完全敗北し、奴隷宣告まで受けるハメになる。正直なところ、羨ましんだよなチクショウ。

 

こうして1人による1人のための愛によって、迷惑にも宇宙規模で改編された世界が訪れたのだ。

 

道のド真ん中でエアまどかと楽しそうに話すほむらがいて言葉にならない。

 

ほむらの「敵になってあげる」ってセリフがよく分からん。さやかは強がっているけど記憶が消えそうだし(ていうか消えたし)、まどかが使命を思い出さない限り戦いも何も起こらないだろう。魔獣が滅んだ後とか…ほむらの寿命は無限にでもなっているのかな。クラスの授業でディベートをやって敵対するみたいなレベルであることを願うばかりだ。

ほむらがいたところのパラソルにまどか(魔女)文字で「永劫回帰」と書いてあるらしく、いろんな意味で畏怖の念を抱いた。あんた、マジなんだな…

さやかとの会話中にトマトを投げられてるほむらは凄くおもしろい。気取り屋にトマトをぶつける遊びが子供達のブームらしい。

「あの子にまで嫌われるわよ」と上品ぶって忠告していたけれど、たぶんお前よりは好かれると思うぞ。

そして何より、なぎさが小学生だったことに一番驚いた。精神年齢も明らかに幼い小学生を契約させるとかキュゥべえブラックすぎるだろ最低だな。なぎさが叶えた願いも小さいものだったらしいし、ケダモノだよヤツらは。

でもソウルジェムの描写はなぎさだけ無いし、もしかしたら一番救われた存在なのかもしれない。

さやかはまた円環の理に導かれるんだろうけど、まどかがいないなら前より寂しくなりそうだ。それならさやかにとっては杏子が導かれるまで待ち続けていた以前のほうが良いに決まってる。TV版では何も言えずに別れてしまった恭介と仁美と再会できたのは良いとしても、また別れる運命なんだろうし、ほむらが結果オーライみたいに言っていたけど、魔法少女として復活したんじゃビミョーすぎる。でも仮に一般人に戻っていたとしたら杏子との関係は無くなりそうで…ってこの辺は考えるだけ無駄かぁ。どっちにしろまどかと接点が無くなっていて辛いよ。

 

まどかが転校生設定とか出会いをやり直すってレベルじゃない。俺の価値観になるし何度も言ってる気がするけど、あのまどかは別人だよ。

概念になったまどかが…ほむらの全てを知ることができて良かったって言ってたじゃん!

ほむらの努力が伝わった時以上の関係になるなんてもう不可能。いっそ関わらないほうがマシなくらい中途半端だ。

まぁそもそも、ほむらは理解されなくてもいいと思いながら戦い続けてきたんだし、自分自身に興味が無いだろうから、まどかとの関係性にもあんまり執着が無いのかもしれない。

ほむらが何度も繰り返してきた戦いを理解してあげられる人はアニメの視聴者だけになってしまった。

ほむらが相手の幸せを願ったっていうのは本心なんだろうし相手が幸せならそれでいいというのは理想的な愛し方だが、結局は自分が1番納得できる形を押し付けた自分勝手な自己満足なんだよ。愛とか言っていたけれど、自分の弱さを都合よく解釈してるだけなんじゃねえのかと。自分はどうなってもいいと思い続けて自分を愛せないままでは他人もマトモに愛せやしないんです。まどかが愛しく思っていた日常を分かっていないよ。

 

ほむらに質問攻めを注意されたクラスメイトの「やばっ...近寄らんとこ」みたいな散り方はおもしろい。廊下を歩いている時も「うわっ...暁美ほむらだ」みたいな目で見られているし、社会不適合者が無理にデカい顔してるとロクなことになりませんね。

これじゃマミさんのことをぼっちだとか言って馬鹿にしている場合じゃあないですよ。

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ここ良いパンアップ。

 

目付きが悪く、イヤーカフを着けた初対面のクラスメイトに哲学的な質問をされ、リボンを渡され、涙まで流されてまどかはドン引きする。二人はまた笑い合えるのだろうか。エンディングの最後のように手を繋げるのだろうか。

…まっったく期待できない。

むしろほむら自身の意思でまどかから離れていきそう。

でもリボンを渡す時のほむほむの顔は確かにいつものほむほむだったんだ(いつものほむほむもアレなのだが)

 

その後に描かれる日常の風景では、さやかと杏子はラブラブで、まどかは大切な家族とまた一緒にいられて、我らがマミさんはアホみたいにチーズを買っている。しかも傍にはなぎさがいる!漫画版では二人が手を繋いで歩くところまで描いていたので素晴らしかった。ぼっちだなんてもう言わせないわ!

 

という感じでほとんど文句ナシのハッピーエンドにも思えてしまうが、やはりまどかから親友のさやかを奪っているのが一番もやもやするんだよほむほむ。

質問攻めの時にさやかは近づいてもいなかったから完全に忘れたと捉えていいだろう。

幼い頃からまどかを支え続けたのはさやかであり、人格形成にも大きく関わっていたはずだ。

ほむらめ…「この世界が尊いと思う?」って何度も聞きやがって…まどかの答えの中には、さやかと仁美との思い出も含まれているに決まってるだろうが!日常に戻れたってまたあの3人で過ごせなきゃダメなんだよ……

ずっとさやかに助けられてきて何も出来なかったまどかが、円環の理でせめてものお返しをしたのだ。その気持ちも消し去りやがった。

テレビシリーズの公式ノベライズで描かれた2人の初めての出会いや、「いつかさやかちゃんにもわたしにも本当に好きな人ができて、結婚して、ばらばらになっちゃったとしても…それでも、友達だと思えます。どこか遠いところに住んでいても、たまに会えれば、会ってあの笑顔で話しかけてくれれば、わたしはそれだけでいい」というまどかの気持ちに涙腺をやられた俺はキレたもんですよ。まどかとほむらが普通に仲良くするラストだったらたぶん画面を殴っていた。

さやかと杏子が仲良くしていれば全て良し...ってわけではなく、さやかにとってはまどかが一番大切な友達だったんだよな。たぶんまどかからしても。

ほんと何の権利があってそんなことしたんだよ!チキショー!

 

そして内容のメッセージが込められまくっている素晴らしい曲『君の銀の庭』(ほむらのシルエットが良い)が流れた後には半分に欠けた月の下で椅子に座るほむら…

明らかに寄り添う相手がいないあのシーンのせいで彼女の行く末をめちゃくちゃ察せられて「ハッピーエンドだッ!」なんて言えるわけがない。なーにがまどほむ尊いだ。 

無理に恍惚とした表情を作っているような痛々しい横顔だった。

落ちたラストシーンはこの先も堕ちていくだけってことを暗示しているのではないかな。

タオルにしたら肌に悪そうなボロクソのキュゥべえは部下に先を越された元上司みたいな目をして奴隷と化したみたい。でもここまで逆転しているとさすがにかわいそうだから、大量のキュゥべえがほむらに叛逆(成人指定)する妄想までしてしまいますね……俺がしたいだけだな。

あの状態のほむらの支えになりたいと思う俺もいれば、キュゥべえのような扱いも悪くないんじゃないかと思う俺もいる。そんな哀愁とサディスティックな雰囲気を身に付けたほむらがどうなってしまうのか気になるけど、この終わり方はある意味美しいし、解釈の余地が残っているからこそ長く楽しめる作品なので、続編をわざわざ作る必要はないと思う。続きを作ってしまったらこの作品の価値がほとんど無くなるんじゃないのかってほど素晴らしい結末でした。

それにしても、魔法少女はこれからも増えるのかが気になるなあ。ボロ雑巾キュゥべえがマッチ売りの少女みたいに契約を持ち込むのだろうか。ウケる。

 

というわけで、観る人によっては様々な解釈ができる内容で、新編を蛇足と言う人の気持ちにもかなり共感できる。「これが見たかった!」と「こんなの見たくなかった!」に溢れている困った大傑作です。モノローグも会話も説明的すぎて映画としては難もあるっちゃあるが、圧倒的におもしろさが勝った。

 

BD特典にあった「1st take ver」も観たんだけど、悪魔化してからのセリフが気取りすぎていて痛さが倍になっていた。救いの無さも強くなっていて、音響監督が語っているようにエンディング後を想像させる含みは薄い。公開版で正解だ。

 

新房総監督は「テレビシリーズの『女子中学生が神様になった』という結末は重いかもしれない」と言っていたらしいが、JCが悪魔に等しい存在と化すのも恐ろしい気がしますよ。

新編はTV版の続編ではなく劇場版前後編の続編だとも言っていたらしい。

そこは別けられていて良かった。

TV版ではきっと普通にまどかと再会できたんだよ…ほむほむ…

 

前後編と新編の間を描く魔獣編なんてものも漫画で出ています。ぶっちゃけかなり蛇足感がありますけど、公式っぽい扱いですし、マミマミストには非常にオススメ。

魔法少女まどか☆マギカ[魔獣編] (1) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ)

魔法少女まどか☆マギカ[魔獣編] (1) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ)

 

 

 

それでは新編のキャラについて語る。
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暁美 ほむら

大体は上記のアレコレで語ったので、簡単にまとめるなら…新編のほむらは『ランボー』だった。

ループ(ベトナム戦争)が終わり新しい世界で生きていこうとしたものの、キュゥべえ(保安官)に邪魔をされ、それが引き金となって自分の好きな空間(山)に閉じこもってしまい、そこで戦っていくうちに、あの頃の苦しみが次々と沸いてきて、終盤にはほむら(ランボー)の願い(ベトナム戦争)はまだ終わっていなかったのだと分かる。守ると決めたもののためならば自分はどうなってもいいと思っている所も似ている。

ランボーは大佐に苦悩を全部ぶちまけて、それでも生きていくことを決められたんだけど、ほむらは独りで完結して悪魔化を選んでしまったのだ。

ランボーは歴戦の戦士であり大人だったが、ほむらは場数だけ積み重ねて精神の成長はしないまま生きていたので、あんな行動をとってしまったんだろう。

やっぱり魔法少女達は女子中学生なのだ。

テレビシリーズからずっとそうだが、女子中学生故の精神の脆さや思考がキャラクター性のかなり重要な要素であって、そこを理解しようとせずディスったりするのはよくないんですよね。

まぁとにかく…不幸なほむほむはかわいかった!

誤解されないように言っておくと、俺はテレビシリーズのほむらも叛逆したほむらも大嫌いだ。それでも…1番愛してるんだ(めんどくせえ)

 


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鹿目 まどか

ほむらをずっと見守り、やっとまた一緒になれる時が来たと思ったら、ほむらの余計なお世話によって自分で決意した願いは無かったことになってしまい、勇敢だった彼女は消えてしまった。

まどかが家族とまた一緒に生きられるようになったことは本当に素晴らしいことだが、どうしても寂しさを感じてしまう。

もし彼女の中のアルティメットが目覚めて今のほむらを見たら泣きそう。

まあ個人的には一生目覚めず、ほむらはずっと孤独に生きていくってほうが好みだな。

まろかぁ~。

 


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百江 なぎさ

まどかが送り込んだ元お菓子の魔女。

まどかにとっては一番のトラウマ魔女だと思うんだがな。

しかし魔法はなかなかのもんだし、病んだ発言も無くて完全に癒しだった。

結果的にあらゆる面でマミさんを救ってくれたので、叛逆後の世界でもし魔法少女を引退できているのなら本当に幸せになってほしいですね。ほむらからすれば全然知らない娘だし、たぶん魔法少女の引き継ぎはされてなさそう。

 


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美樹 さやか

彼女も円環の理から、テレビシリーズの時とは正反対の圧倒的な頼もしさを纏って帰ってきてくれた。呪いであったオクタヴィアを受け入れている事でもあるのか自由に出せるようになっているし、正直強さはマミさんよりもヤバいんじゃないかと思える。ほむらの頑張りを認めることもできてキャラが無敵。

ただ叛逆後ではスタンド能力もまどかの記憶も失って杏子とアレしてるだけなので、あのさやかちゃんは何だったんやとなる。不憫だよ。魔獣に負けるまで幸せに過ごすことができそうだが…素直に喜べませんね。

 


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佐倉 杏子

やっぱり彼女の気楽さと戦闘力から溢れ出る安心感は、今回のワケわからん世界観の中でも一種の癒しだった。

おそらく一番振り回されていたキャラでしたが、ほむらの叛逆によってマイナスになったことがまったく無いように思えるので、彼女にとってこの結末はハッピーエンドと言えるでしょう。でも真実を知れば認めないのかもしれない。

 


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巴 マミ

この新編を観た誰もが彼女の強さに震えたことだろう。戦術、戦闘力、リーダーシップ、肉体(バスト)などあらゆる点で単体最強であることを証明した。なぎさという支えもできた彼女も疑いようのないハッピーエンド…だと信じたい。

 

 

さて...長々しく駄文を書きましたが、コレを読んでくれた方の『叛逆の物語』への理解に、少しでも良い変化を与えられたら幸いです。

 

ついでにサントラで好きな曲

2、3、11、18、22、26、30、31、32、35、38、44、45