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SSSS.DYNAZENONの感想(70点くらい)

『SSSS.GRDMAN』の感想と比べると簡潔な感じ。ネタバレ注意。

imagege.hateblo.jp

 

GRIDMANと同じくエモーショナルな雰囲気はビンビン。

味を占めたのだろうか…ここまでくるとリアリティなのか分からんキャラの冷静なリアクション、敵と会話する型破りなシュールさ、大胆な間の取り方まで露骨にやっており、どれも記号的に感じてノレない。

でも「無職のまま死んだんだ」みたいな、シュールギャグとして秀逸なセリフは多かった。

戦闘はGRIDMANほどのおもしろさは無いけれど、パイロットが複数人いるのでワチャワチャしてるし形態変化もガンガンやってて迫力はある。ほとんどの敵を宙に浮かして倒すのが独特で良い。一度だけ宇宙で倒していたんだが、全部それを狙えば被害も少なくなってそうだな…。

グリッドナイトの動きは常に最高。

 

街の背景や小道具がGRIDMANと酷似していたのはいいとしても、画の構図までGRIDMANと重ねまくっていたのは正直やりすぎでつまらない。オマージュまみれだったGRIDMANが今度はオマージュされる側になったと捉えれば納得だし感動的ですらあるのだが、別に深い演出意図は感じられないし、無理矢理なサービスとしか思えないペラさで、もはや手抜きじゃないのかと。グリッドマン関連以外の引用が薄まってるのは良い変化だった。

 

リセットされる世界では無いから、壊れた街並みに心を痛める描写があるっちゃあるけど、申し訳程度の「入れとくか」感。守る立場とはいえ自分達も知らぬ間に人を死なせているかもしれないってのに、世間との距離がありすぎる。GRIDMANと違ってほぼ全員が(しかも一般人が)戦場に立っている意味は大きいし、それでいてGRIDMANよりも犠牲者の扱いが薄い。リアリティのバランスが非常に悪いよ。もちろん若者達が背負うには重すぎるとか、メインキャラのドラマを疎かにできないからそうしているのだろうけど、そのドラマもかなり冗長なのでタイトにできたんじゃないの?って言いたくなるし、ヒーロー作品としてどうなの?って問いたくもなる。ラブコメで流せると思うな。なんで俺はこんなに文句を言ってるんだ?

気になる人は厳しい違和感をずっと引きずってしまうだろうね。

怪獣優生思想と距離を保ち、怪獣が出たら倒すみたいな、お約束を守っているのも意味不明。GRIDMANならアカネを直接倒さない(倒せない)理屈がいろいろあったけど、これは潰しに行かなきゃダメなやつだろ。思想家ってレベルじゃないんだからさ。人は殺しちゃダメってのを真っ当に貫いてるつもりなのだろうか(最後には殺されるけど)。あんな理不尽に対する憎しみが全然描かれないのスゲーと思う。

 

まぁキャラは良かったですよ。

ヒロインの夢芽ちゃんはマジ逸材。

茶髪緑目というシンプルながら最強の属性を持ち、虹彩が翼みたいで美しい。

時々チラつくタイツのランガードには視線が吸い込まれてしまう。

「なんとかビーム」は最高の技名。

風邪で寝込んで古生物のぬいぐるみに囲まれてる姿は、1話のアブないミステリアスな印象とは真逆で、ただのかわいいJKである。

 

ちせもかわいすぎ。

性格に難があるパンクガールだが、かわいいのでとにかく良し。彼女が居なかったらガウマ隊の雰囲気は深刻だったと思う。

 

蓬は表層がシンプルに見えるけど実際は未知なところが多くて掴みづらい。

でも終盤には夢芽に対する想いがハッキリしてきてキャラが一気に立ってくる。

 

友達の金石ちゃん、絶対エロい。

 

暦はまぁ…引きこもりのくせに行動力あるしコミュニケーション能力も普通にあって何とも言えんショックを受けてしまうキャラだった。そういう極端ではないキャラクター性はアリだし、長々と過去を引きずっていたけど成長は常に感じさせる不思議な奴。

しかも最後には「出た~!髪型変えたらイケメンになるやつ~!」って感じの変化に全ての印象を持っていかれた。

 

ガウマは苦手なタイプのキャラかもな~と不安だったけど、冷めたキャラが多い中で程よく熱く、堂々とした性格が常に頼もしくて1話から好きになれた。意外とロマンチストなのも好き。ナイトとの絡みはGRIDMANでは見られなかったタイプのものでニヤニヤしちゃう。

 

怪獣優生思想は名前がキャッチーだけどギリギリなセンスでもあるなと思う。

ムジナは顔面が素晴らしいうえに巨乳で、脚の太さは引くほどヤバイ。

4話のインスタンスドミネーションは指のアニメーションが妙にエロい。手袋はエロい。

終盤で同類だと思っていた暦が先に進んでる姿を見て憎んでしまうのがかわいくて、凄く無職だった。直接伝えちゃうところが余計に情けないよ。でも気持ちは分かる。

 

シズムは最後まで思想を変えない一貫した敵で嫌いじゃないんだけど、夢芽と蓬の情動をウメェ~ウメェ~と貪っていたのを想像するとウケるな。

他のメンバーはあんまり興味が無いや。 

 

問題はナイトと2代目なんだよ。

別世界から訪れた彼らの正体は、疑うまでもなくGRIDMANのアンチとアノシラスなんだけど、夢オチ解釈を貫いてきた作品の続編的なモノが約3年越しに出された俺の気持ちが分かるか?

まぁ出てきて観てしまったもんは仕方ない…。明確に描かれたのはこの2人だけだし、アカネの消失は揺るがなかったので許容できる範囲ではあった。

ナイトの見た目は長身目隠れでカッコイイし、キャリバーさんの影響が窺える刀もグッとくるし、なんだかんだ1人で勝てないのも好き。2代目への敬語も良いギャップ。

アカネのヒーロー願望と嫌悪から生まれたアンチが、今では立派にヒーローやってるのは感慨深い。相変わらず愛想が無くて、暴力的な面もあるけど、アンチヒーローらしいといえばそう。正直、カイゼルグリッドナイトだけはかっこよくないんだよな…。

2代目がメガネかけてんのが一番疑問。俺がメガネヒロインアンチなのは関係無くて、君って視力下がるんだって驚きよ。ホームレスだった過去の姿が嘘みたいだ。

 

 

8話と9話は苦手。

8話ではロイコクロリディウムのような、目がキモくて小さい怪獣が現れて、シズムにハズレと言われたり気持ち悪いとか無理とかキッツイとか散々な扱いを受けている。確かにヤバいデザインなんだけど、怪獣優生思想が怪獣に対して優生思想を振りかざし、劣生認定していたことが一番キツい。シズム以外が見つけていたらどうなるのか知らんけどね。

それからナイトと2代目が怪獣であることを匂わし、怪獣への理解を語りながら、怪獣を処分しようとするんだけど、2人は今回の怪獣のような醜さの無い美形で、望まれて生まれた存在であり、そんな彼らと対比的に見てしまえば容姿や育ちって大事だよなと嫌な気持ちになる。もちろんナイトは危険か安全かでしか考えてないだろうけどね。かつてグリッドマンに見逃されまくって被害を与え続けた彼だからこそ説得力があるのかもしれない。

差別的な話だったと言うつもりは無いけれど、キモイ生物+優生思想+駆除って構造を明確な絵と言葉で描かれると楽しみづらいよ〜ってハナシ。

暦の後悔とか夢芽と蓬の距離なんかも前回までの描きの延長戦程度だと思ったので、ドラマ的にもビミョーだった。

 

9話は冒頭の髪を下ろしたちせがカワイイ。グリの内海以上に疎外感を感じていたであろう、ちせの想いが怪獣として形になり皆を助け、彼女自身も仲間の実感を得られたのは良いことだ。夢芽に言った「あんた、贅沢なんだよ」はナイスだった。ゴルドバーンに助けられた時の夢芽の脚は最高。

でも戦闘が始まってからはイカれている。前回は街の被害を強く気にしていたくせに今回の戦闘はまったく考えないで作ってるだろとビビってしまう激しさだし、最後まで祭りに参加しようと思ってる頭お花畑っぷりにもビビる。ノリで意識が変わりまくるアンバランスさは気持ちよければ好きになれるがコレはモヤるわ。

ナイトが花火してる姿は見れて良かった。

 

 

特に好きなエピソードは7話と10話と最終話。

7話は単純に一番おもしろい。ナイトが出てきて複雑な気持ちになったのは間違いないけど、ムジナがやる気を出したり、暦が人助けしたり、暦と夢芽の仲も進展してドラマ面は普通に良し。ナイトとダイナゼノンが協力する熱さと戦闘シーンのおもしろさは作中で最高。『HumanLove_CH_edm_all』が流れたのもマジで高まるし、アンチのキャラソンを挿入歌として流すのもしっかりと盛り上がって上手かった。

 

10話はSグリ9話的な独特の作画と演出に特化した回。

皆が音も無く消えるの良いし、ガウマ殴っといて出オチするナイトかわいい。幼い夢芽もかわいい。蓬が一瞬で覚めて熱血キャラと化してたけど、もはや囚われるほどの過去は無く、今が一番大事だと確信しているんだろうな。さすがに極端すぎる変化でナンダコレって思っちゃったけど…。ナイトも執着するタイプじゃなくて良かった。

過去のバイトリーダーがかなり好みなので暦が囚われるのも理解できる。

怪獣内も戦闘も画的に満足度が高かった。

怪獣による幻想世界だと思いきや、ガウマが「過去の世界に戻れた」とか言っていたから、夢芽と香乃の会話は本物だと信じていいんじゃないかな。

夢芽が黒で香乃が白の、解けた輪をまた結んだのが良いね。

どうでもいいけど、クレジットの蓬の母ちゃんと夢芽のママって表記がなんか好き。

7話も10話も結果的に街の被害がほとんど無かったから楽しみやすかったのかもな。

 

最終話で気付いたのだが、2つの勢力が拗らせた大人と青春真っ只中の若者って構造で、怪獣優生思想がだいぶ哀れに見えてくる。

それぞれ望んでいるものがバラバラなのも、団結してるガウマ達とは対比的。

彼らが人間を憎む理由は分かるけど、過去の亡霊が今を生きる者達の歩みを邪魔していいわけがないのだ。ただ突き放して相互理解まで至らない解決になってしまったけど仕方ないんだろうな。

戦闘は対話が多く挟まれるけど、7話と同じくらい楽しめる熱い戦いだった。やっぱりダイナゼノンとナイトはバラけた方が良いじゃないか!

夢芽と蓬は付き合ってリア充と化しましたが、まだ学校に戻るわけじゃないちせと、嫌いだと言っていた人の会社にコネ就職した暦の不器用な進み方も良いと思う。

全て思い出になり人生は続いていくのだと、切なくも美しい余韻まで好みだった。

「かけがえのない不自由をこれから手に入れていくんだ」とか、学園祭を楽しむ姿にアカネへのアンサーを感じる。「ずっと消えない痕になるといいね。何十年経ってもきっと忘れないと思うから」も凄く良いセリフ。俺も高校生の頃から手の甲に傷の痕があるんだけど、自転車で盛大に転んでついただけで、ドラマは欠片も無いから普通に消えて欲しい。

ガウマが言ってた守らなきゃいけないモノって、愛と約束と、未来なのかも。

最後にガウマがダイナゼノンになったのだとしたら、ナイトとの繋がりも続きそうで嬉しいな。

絶賛はできませんが最終的にはおもしろいと思える作品でした。

 

追記

発表された劇場版が恐ろしいです。